研究発表の原稿にAIを使う方法原稿は「読む」ためではなく「手放す」ために書く
発表原稿を一字一句書き上げて、当日はそれを読み上げる——実は、これが発表を一番つまらなくする方法だと言われたら、どう感じますか? 原稿を作ること自体は正しい準備です。問題は原稿の役割の捉え方にあります。良い原稿は、本番で読み上げるためではなく、練習で内容を体に入れて、最後は手放すために書くものです。AIを使えば、その「手放すための原稿」づくりは大きく時短できます。
公開日: 2026-07-22
なぜ「読み上げ」は伝わらないのか
原稿を読み上げると、視線はスライドと手元に落ち、声は平板になり、聴衆との接点が消えます。内容が良くても「読んでいる人」の発表は記憶に残りません。
だから原稿のゴールを変えます。原稿は完成品ではなく、練習用の教材。 本番までに内容が体に入っていれば、当日は要点メモだけで話せます。
ステップ1:スライドから下書きをAIに作らせる
スライドの構成(各スライドの見出しと要点)を渡して、「7分の口演原稿の下書きを、スライドごとに作って」と頼みます。白紙から書くより、下書きを直す方が圧倒的に速いからです。
このとき、発表時間も必ず伝えます。目安として、日本語の口演は1分あたり約300字。7分なら2,000字強が上限です。AIの下書きが長ければ「300字/分のペースで収まるように削って」と調整させます。
ステップ2:書き言葉を話し言葉に直す
AIの下書きは、丁寧ですが「書き言葉」です。そのまま読むと硬く、棒読み感が増します。
直すポイントは3つ。①一文を短く切る(読点で息が続かない文は分割)。②漢語を和語に開く(「実施した」→「行いました」)。③自分が普段使わない言葉を、自分の言い方に置き換える。この置き換え作業こそが、内容を体に入れる練習の第一歩になります。AIに「話し言葉に直して」と頼んでもいいですが、最後の「自分の言い方」だけは自分でしか作れません。
ステップ3:数値と結論の言い回しを原文・データと照合する
原稿づくりでも、確認の原則は変わりません。結果の数値は自分の解析と一致しているか。結論の言い回しは、抄録・スライドと矛盾していないか。
口頭で言ってしまった「言い過ぎ」は、スライド以上に制御が効きません。 質疑で突かれるのも、たいてい原稿の中の一番強い一文です。提出物と同じ緊張感で照合してください。
ステップ4:耳で回して、原稿を手放していく
原稿ができたら、黙読ではなく声と耳で練習します。声に出して時間を計る。録音して聞き返す。通勤中に自分の発表を耳で流す。
3回も回すと、原稿を見なくても流れが口から出るようになります。その状態になったら、原稿は要点メモ(各スライド1行)に縮めて、本番はメモだけで臨む。 これが「手放す」の意味です。
質疑は原稿の外にある
原稿で守れるのは発表本編だけです。質疑は原稿の外からやってきます。
対策はシンプルで、想定問答を3つ作り、答えを一度声に出しておくこと。AIに「この発表への質問を10個挙げて」と頼むと、想定の網羅性が上がります。答えを作るのは、データを知っている自分の仕事です。
原稿を「復習音声」に変える
Paperfyを使っている場合、この練習をもう一歩進められます。ラジオ台本を自分の発表原稿に沿って編集し、音声を再生成すれば、自分の発表がそのまま通勤中の復習番組になります。
前日の帰り道と当日の朝に1周ずつ。読む練習と聴く練習の両輪が、原稿を手放す一番の近道です。発表の根拠になる文献も、同じライブラリでPDF・要約・図表つきで確認できます。
発表原稿チェックリスト
- 1分300字目安で発表時間内に収めた
- 書き言葉を自分の話し言葉に置き換えた
- 数値と結論の言い回しをデータ・抄録と照合した
- 声と耳で3回回し、本番は要点メモで臨める状態にした
発表原稿を、耳で仕上げる
Paperfyなら、ラジオ台本を発表原稿に沿って編集して音声化できます。移動中のリハーサルで、原稿を手放せる状態を作ってください。
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