抄読会スライドの作り方AI要約の貼り付けがいちばん危ない理由と、基本の8枚構成
抄読会のスライド、1枚目の「論文タイトル」から順番に作り始めて、3枚目あたりで手が止まる。みなさんはそんな経験ありませんか?「この発表で聞き手をどこへ連れて行くか」の道順が決まっていないまま、スライドを作り始めているからなんです。
公開日: 2026-07-22
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抄読会スライドの作り方。AI要約の貼り付けがいちばん危ない理由と、基本の8枚構成
スライドは「要約の掲示」ではなく「聞き手の道案内」
最初に、スライドの役割をはっきりさせておきます。
抄読会のスライドは、論文の要約を貼り出す掲示板ではありません。聞き手が「なぜこの論文か、何をしたか、何が分かったか、どこが怪しいか、自分たちはどう考えるか」をたどるための道案内です。
道案内だと考えると、判断基準がシンプルになります。その1枚は、聞き手を次のスライドへ進める役に立っているか? 立っていなければ、情報として正しくても削る対象です。
基本の8枚構成
道順は、この8枚で組むのが基本形です。
1枚目は、なぜこの論文か。臨床・研究上の疑問、選定理由を置きます。2枚目は、PICOまたはリサーチクエスチョン。誰に、何をして、何と比べ、何で測るかを整理します。
3枚目は、研究デザインと対象。RCTか観察研究か、組み入れ・除外基準はどうか。4枚目は、介入・曝露・比較。具体的に何をしたのかを示します。
5枚目は、主要評価項目。何を「効いた」の基準にしたのか。6枚目は、主要な結果。メインの図表と数字です。7枚目は、Limitationsとバイアス。8枚目は、議論ポイントです。
まずこの8枚の「見出しだけ」を並べてから中身を埋めると、途中で手が止まらなくなります。
前半4枚は、なぜ・何を・誰に・どうやって
前半で意識したいのは、聞き手はまだ論文を読んでいないという当たり前の事実です。
1枚目の「なぜこの論文か」は、遠慮せず自分の言葉で書いてください。「先月こんな症例があって、この治療の根拠が気になった」。この一文があるだけで、聞き手の姿勢が変わります。
PICOのスライドは、表形式で1画面に収めるのがおすすめです。ここが伝わらないと、以降の全スライドが宙に浮きます。逆にここが明快なら、細部を多少端折っても発表は成立します。
結果スライドは「数字と図」が主役
6枚目の結果スライドで、やってしまいがちな失敗が2つあります。
1つは、文章で書いてしまうこと。結果は論文のメインの図、たとえばKaplan-Meier曲線、フォレストプロット、棒グラフ、Tableなどを主役にして、文章は添える程度で十分です。
もう1つが、より危険な方です。スライドに載せる数値を、AI要約から転記してしまうこと。 効果量、信頼区間、p値、イベント数。ここに載せる数字は、必ず論文PDFの本文と図表から自分の目で拾ってください。
AIは数値を丸めたり取り違えたりすることがあります。スライドの数字ミスは、抄読会でいちばん指摘されやすい種類のミスです。
後半の価値はLimitationsと議論スライドで決まる
正直に言うと、1〜6枚目までは、準備すれば誰でも作れます。発表の価値に差がつくのは7枚目と8枚目です。
Limitationsのスライドは、著者自身が認めた限界に加えて、自分で気づいた弱点をひとつ足せると、発表の格が一段上がります。 対象患者は自分の現場と同じか。追跡期間は十分か。脱落は多くないか。
8枚目の議論ポイントは、「この結果を受けて、うちではどうする?」という問いを2〜3個。抄読会は勉強会であると同時に議論の場なので、発表者が問いを用意しておくと、会全体の質が変わります。
AI要約をそのままスライドに貼ってはいけない理由
「要約はAIが作ってくれるから、それを貼ればスライドは楽では?」と思った人もいるかもしれません。気持ちは分かるんですが、これはおすすめしません。
理由は3つあります。第一に、前述の数値の信頼性。第二に、AI要約は「読むための文章」であって「見せるための文章」ではないこと。スライドに長文の段落が貼られていると、聞き手は読むことに集中して、発表を聞きにくくなります。
そして第三に、これが一番大事です。貼り付けた瞬間に、発表者がその内容を「自分の言葉で説明する」工程が消えてしまうことです。
要約を箇条書きに崩し、スライド用に言い換える作業は、面倒なようでいて、実は発表準備そのものなんですよね。AI要約は下書きとして使い、スライドの言葉は自分で選ぶ。この一線は守る価値があります。
Paperfyでの下ごしらえ
この下ごしらえを楽にするために、Paperfyには3つの使い方があります。
図表の確認。 アップロードしたPDFから図表を確認できるので、「6枚目の主役にどの図を使うか」を選ぶ作業が速くなります。もちろん、最終的な数値は元PDFの該当ページで確認してください。
要約の編集。 AI要約は手動で編集できます。スライド用に言い換えた表現をそのまま要約に反映しておけば、発表後もライブラリに「自分の言葉の要約」が残ります。
音声リハーサル。 ラジオ台本を発表の流れに沿って編集し、音声を再生成すれば、通勤中に自分の発表を耳でリハーサルできます。スライドを見ずに内容を話せる状態で当日を迎えられるのは、思った以上に心強いです。
まとめ
抄読会スライドの作り方をまとめます。
スライドは要約の掲示ではなく、聞き手の道案内。基本の8枚の見出しを先に並べてから、中身を埋める。結果の数字と図は、AI要約ではなく原文PDFから確認する。Limitationsに自分の気づきをひとつ足す。AI要約は貼らずに、自分の言葉に直して使う。
道順さえ決まれば、スライド作成は「悩む作業」から「埋める作業」に変わります。次の担当では、まず8枚の見出しを並べるところから始めてみてください。
抄読会スライドで先に決めること
- 8枚の見出しだけを先に並べる
- PICOと主要評価項目を1画面で説明できるようにする
- 結果の数値と図表は原文PDFで確認する
- AI要約は貼らず、自分の発表用の言葉に直す
論文要約を、発表できるスライドの材料に変える
Paperfyなら、PDF、AI要約、図表、ラジオ台本を同じページに残せます。要約を自分の言葉に直し、発表の流れに沿った音声リハーサルまでつなげられます。
抄読会
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